バスフィッシングに使用されていたアルミボート「クイントレックスV12」の、古くなったフラットデッキのレストア(復元)を行いました。
今回の作業は、対象となる中古ボートを指定し、そのボートを復活させて欲しいとのお客様からの依頼により始まりました。
今回の記事は画像多めにて、全体の作業の流れを簡単にご紹介いたします。

1回目の役目(バスフィッシングでの使用)を終え、河口湖の某駐艇場にて、長年眠っていた「クイントレックスV12」が、いよいよ2度目の活躍の場(バスフィッシングトーナメント)に向けて始動です!

クレーンでバウを高く吊りながら、船内を高圧洗浄機にて洗浄。
汚れた水を排水しながら、長年の汚れを落とします。

元々使用されていた艤装品の劣化状態の確認、及び取付け部のガタつきが見受けられた為、トランサム下部に取り付けられていたエアレーターポンプ等を一旦取り外します。

水回りの艤装品(エアレーターポンプ、ビルジポンプ、スルハル、ボールバルブ等)の他、電気配線関連部品が取り外されました。

ライブウェルの給排水システムの艤装品が取り外された船内(トランサム下部)です。

こちらは船外から見た画像となります。
船内側、船外側共に、再度、艤装品が組み込まれる部分の面を整えます。

ボールバルブ(セフティーコック)、及びエアレーターポンプが再度ボートに組み込まれました。
今回は、エアレーターポンプのカートリッジを新品に交換済み。

こちらは、再度組み込まれた給排水システムを船外から見た画像です。
ライブウェルの給水側のストレーナーが欠落していた為、改めて組み込みました。

船内に約150Lの水を張り、水漏れの確認を行います。
画像はバウのキール部分です。
この作業により、キールの溶接部分に僅かなクラックが有る事が判明しました。
勿論、即時修理です。

再度組み込まれたトランサム下部の給排水システム部分に水漏れが無いか確認を行っているところです。

前後左右、クレーンでボートを吊りながら、張っている水を移動させてチェックを行います。
この作業により、右舷左舷共に、バウからスターンにかけてのチャイン部分の水漏れが確認出来ます。
溶接艇のウィークポイントは、キールとチャインの結合部ですから…。

新品のカーペットに貼り替える為、古くなったカーペットを全て剥がします。

艇体に貼られていた全てのカーペットが剥がされました。

カーペットを貼る際に使用された、ゴム系のボンドが艇体(浮力体部分)に残っております。
剥がしツールを使用しながら極力古いボンドを剥がし落とします。

旧ボンドを出来る限り除去し下地を整えないと、新たなカーペットを綺麗に貼る事が出来ません。
又、せっかく新品のカーペットに貼り替えたとしても、古いボンドと艇体間にて剥がれが生じる可能性が有る為、この作業は、じっくり丁寧に時間をかけて行います。

各部に合わせて新品のカーペットを裁断し、ゴム系ボンドを使用して艇体に貼っていきます。

中間と後部の浮力体に、新しいカーペットが貼られました。

各部の形状に合わせてコンパネをカットし、デッキ部分を製作します。
今回は、水はけを考慮してパネコートを使用しました。

そのカットされたデッキ(コンパネ)の補強には、防腐処理が施された垂木を使用します。
重くなり過ぎず、且つ十分な強度が出せる位置に、ロングビスにて取り付けます。

デッキのコンパネにもカーペットが貼られ、徐々に全体像が見えてきました。
もう一息です…。

お客様の要望により、リセストレイを取り付けます。
トレイの埋め込みの為、ファイティングデッキがカットされました。
下のシルバーの部分は艇体前部の浮力体です。

ファイティングデッキと、その下の浮力体間のクリアランスが十分でない為、今回は簡易的に垂木にて嵩上げを行う事にしました。
艇体側の浮力体部分をカットする事によって、デッキと面一に取り付ける事は可能ですが、むやみに浮力体の発泡体にダメージを与えない様に、この方法としました。

デッキ部分がほぼ仕上がりに近い状態となりました。
サイトフィッシングを行うとのオーナー様からの要望により、ハイデッキ仕様となっております。
又、ロッド置き場を確保する為に、ミドルデッキの左舷側をフラット仕様にしております。

ビルジポンプとエアレーターポンプを作動させる為のスイッチですが、案の定作動しません。
今回は、枠を再使用してトグルスイッチを新品に交換しました。

スイッチ以外にも、配線(電線)を新品に張り直しました。
合わせて、回路にはヒューズを組み込みました。

運転ポジションから手が届く位置にスイッチが埋め込まれました。

艇体側の作業も終わり、クレーンにてトレーラーに積載されます。

艇体はトレーラーに積まれ、船外機も搭載され、出荷の準備が整いました。

長野県松本市より、山梨県富士河口湖町(河口湖)へ移送中です。

数年ぶりに河口湖に戻ってきました。
新たなオーナー様と共に、これから始まる第二の活躍に期待です!

お客様の要望に応えつつ、使い易そうなデッキに仕上がりました。
いよいよ水に浮かびます。

船舶検査の受検待ちの為、この日は、走行によるトータルチェックはお預け…。
桟橋にて各種ポンプの作動、ライブウェル関連、艇体の水漏れ、走行を伴わないエンジンのチェック等を行いました。

後日、エレキもセットされ完成間近です。残るは魚探のセットのみ…。
各種申請、及び登録も進み、春から始まるトーナメントに間に合いそうです。
今回は、整備済み艇の販売とは違って、整備前のボートをご覧になったお客様より「このボートを仕上げてほしい!」との依頼から始まりました。
当店では、個人売買等にて入手された艇体、又は、長年放置されていた艇体等をベースに、お客様好みに造り上げる事にも対応しておりますので、ご興味のある方はお問い合わせ下さい。