ボートトレーラーのハブの分解整備を行いました。
対象となるトレーラーは、前回のブログにて「ボートトレーラー フレーム全塗装」として記載した車両となります。(ソレックス ボートトレーラー)
前回のブログにて触れた通り、このトレーラーは全体的なレストアを実施… 当然、ハブの分解整備(オーバーホール)も行います。
トレーラーのハブ(ハブベアリング)って何… その重要性は?
ハブとは、車軸とタイヤ(ホイール)の結合部で、車輪を回すベアリングがケース内に装着されており、車両(ボート等の重量も加わります)の荷重を受け止める重要な部分です。
そして、そのハブケース内に装着されているベアリングはタイヤと共に回転します。当然、走行スピードが速くなればベアリングは高速回転します。
もうお分かりですよね! そのベアリングがダメージを受けていたとしたら… ゾッとしますよね!
私自身、もう何度も見聞きしました…。ハブベアリング破損による走行不能状態になった話し… 某高速道路ではスピンドルから折れて動けなくなっているトレーラーを見た事も有ります。
決して少なくはない事案です。 が、この問題に関しては減らせます。 と、言うか… 無くす事が出来ます! そうです… しっかり整備をすれば良いだけの事なのです。
ボートトレーラーのハブベアリングはダメージ(損傷)を受けやすいので要注意です!
一般的な車両では、水の中にタイヤが半分以上が浸かる事はほとんどありませんよね。
しかし、ボートトレーラーは違います! スロープの傾斜角度等の諸条件にもよりますが、あえてタイヤの半分以上を水に浸け、ボートのランチング(上下架・揚降)を行う事がほとんどです。
つまり、ハブ(ベアリング)が水に浸かってしまうのです。
そして、その際に、オイルシール(グリスシール)部分や、ハブキャップ等から、グリスの流失、及び水の浸入が起きてしまいます。
まぁ ボートトレーラーの宿命なのですが…。
日頃の、簡単な作業にてこの問題(ハブベアリングの損傷)を和らげる事は出来ます!
簡単な作業… それは、グリスアップです! 超簡単な答えです(笑)
ケース内にタップリのグリスを充填して、水が入る空間を無くしておけば良いのです。
言い換えれば、水の浸入スペースを作らない事です。
そして、そのグリスは重滑油の役目も果たしますので、一石二鳥ですね!
しかしながら、グリスの流失は避けられず、完全に水の浸水を阻止する事は難しいのが実情です。
では、どうしましょうか?
定期的な、ハブの分解清掃(オーバーホール)の実施です。
経験上のお話しですが、水が混入し乳化したグリスでも、直ちにベアリングを錆び付かせてしまう事はありません。但し、その状態にて、長期未使用の放置の場合は別です。ダメです!
目視による確認にて早期に水の混入を発見し、分解清掃、及び新しいグリスの充填を行えば、多くの場合、問題ありません。
つまり、ベアリングもスピンドルもダメージを受けない事がほとんどです。
故に、定期的な分解清掃をおすすめします。

今回は、トレーラー全体のレストアを兼ねておりましたので、ご覧の通り車軸(アクスル)を車枠より取り外しました。

こちらが、先程より説明をしている「ハブ」です。

ハブキャップを取り外しました。
これだけでグリスの領域です!
ちなみに、ハブキャップは、ダストカバー、ベアリングプロテクター等と呼び名は色々です。
そして、このハブキャップには様々な形状が有ります。
装着に関しては、基本的にハブケースに対して叩き込むだけです。
つまり、完璧なる防水性が約束される訳ではありません。
当然劣化もしますので、再使用するか否かの判断が必要です。

こちらが、ハブベアリングで、タイプとしては「テーパーローラーベアリング」が使用されております。
ご覧の通り、錆によりベアリングの表面が侵食されているのが一目瞭然です。

こちらは、ベアリングを受ける側の「アウターレース」となります。
ベアリングとの接触部分で侵食されているケースがほとんどです。
このアウターレースの交換ですが、特に難しい事はありませんが、それなりの技量と専用工具が無いと脱着出来ませんので、交換の際には、自動車整備工場等に依頼すると良いでしょう。

一旦、左右のハブを全分解し、洗浄油を使用して綺麗に清掃を行いました。
確実な整備を行う為に、分解清掃は必要不可欠ですね!

新品のアウターレースです。
この交換作業が面倒で、ベアリングのみの交換で済ませてしまう方がおられます。
勿論ダメです!

アウターレースは、専用の圧入工具を使用して、ハブケースに装着させます。
新品の表面は、綺麗な鏡面です。
そしてその綺麗な表面は、しっかりグリス管理されている間は、その状態が保たれます。

ベアリングのセットが、ハブケースに組み込まれました。
基本的にこのベアリングセットですが、ハブの外側に「アウターベアリング」、内側に「インナーベアリング」と、2セットが装着されております。

こちらがインナーベアリング側となり、インナーサイドには「オイルシール(グリスシール)」を装着します。
ベアリングサービス時には、必ず新品のオイルシールに交換しましょう!
再使用不可です!

今回のハブキャップは、中身が見える透明のタイプです。
分解清掃をして、再使用しました。

グリスを充填すると、その透明なハブキャップ内部にグリスが溜まっていく様子が目視出来ます。
特に透明な物を選ぶ必要はありませんが、この様に、グリス充填用のニップルが付いているハブキャップを使用する事を推奨いたします。

オーバーホール済みのハブに、新品のタイヤが組み込まれたホイールを装着!
これで安心ですね!
小話し…
以前、アメリカのボートトレーラーメーカーのスタッフから聞かされた話しです!
「長距離トレイルしてきて、直ぐにランチングをするのは止めるべき。ハブが熱を持っていて、グリスが柔らかくなっている。水中にグリスが流れ出してしまう。」
です! ごもっとも… ごもっとも…
この様に、ちょっとした事を気を付けるのも良いでしょう。
でも まぁ…
定期的な分解清掃… これに勝るものはありませんね!
まとめ…
ボートトレーラーのハブは、定期的に分解清掃を行いましょう!
です!