マーキュリー30馬力船外機 焼き付き

マーキュリー30馬力船外機 エンジン

エンジンがかかりません! との報告を受け河口湖へ出向きました。
事前に状況を詳しくお客様よりヒアリングをしておりましたので、何となくエンジンが焼き付いているのでは? と、推測をして、通常は持ち歩かない「コンプレッションゲージ」を持参しました。
先ずは、コンプレッション測定。 はい、ダメです… 焼き付いております…。


マーキュリー 2ストローク 30馬力の船外機です。
ちなみに、この船外機は「OEM」製品となり、日本国内にて「トーハツマリーン社」が製造しております。
トーハツ船外機ですね。


基本的には、むやみにシンダーヘッドを外す事はありませんが、今回のケースの場合は事前にコンプレッション測定を行い不良が確認出来ておりましたので、更なる判定を行う為にヘッドを外しました。


#2 が焼き付いておりました。
(下側です)


こちらが、外したシリンダーヘッドです。
黄色の線で囲まれているのが、2番気筒です。


焼き付きによる、2次的なダメージが起こっておりました。
焼き付いた時の状況が過酷であったと想像出来ます。(周辺部品の状態からすると、オーバーヒートを起こしたと考えられます)
ピストンリングにまでダメージが及んでおり、その際に砕けたピストンリングが、シリンダー内部で暴れていたと推測出来ます。
黄色の枠線内は、ピストンリングの破片によるピストン頭部のダメージです。


シリンダーヘッドに、ピストンリングの破片が刺さっております。
更にヘッドの内側の面には、無数の細かな傷が有りました。
今回の場合は、2次的要因により被害が拡大してしまいました。

まぁ 特に珍しいケースではなく、昔はこの様な光景を度々目にしたものです…。


ところで…

焼き付いたエンジンって修理出来るの?
はい、出来ます!

どうやって直すの?
傷の付いたシリンダー壁をボーリング加工により削り、新たなピストン、及びピストンリングを挿入します。

どのくらい削るの?
日本製の船外機の多くは、0.25mm と 0.5mm のオーバーサイズピストンが、部品として用意されております。
その、オーバーサイズピストンのサイズ(径) + 指定のピストンクリアランスを削る事になります。

費用は?
これは、そのエンジンの状態を確認しながら試算する事になりますが、決して安い金額ではありません。

修理金額も それなりにはかかりますので、修理を行うか否かの判断も重要ですね。
当店では この様なケースにおいて、修理実施、新品船外機購入、どちらにも対応しておりますので ご相談下さい。

医療の世界では、患者さん(又は、その家族)と相談をしながら、その時に出来る最善の方法を見出しておられますよね。
それが私の立場では、その対象が機械(エンジン等々…)、及びその所有者と言う事になりますが、医者と同じだと思っております。

的確なアドバイスが行える様に、日々努力ですね。