販売を予定しております和船のトランサムを修理しました。
整備済みボートを造り出す為の、レストア(復元)的要素を含んだ作業の一環となります。
この和船では色々な個所の整備を行いましたが、今回のブログではトランサム修理の流れをご紹介いたします。

修理前のトランサム外観です。
艤装時に開けられた穴からの水跡が確認出来ます。
この水跡… 茶色いですよね。
これはトランサムの心材(合板等の木材が主流)が水を含み、内部で腐りかけている証しです。

青色の部分がボートの外側、つまりゲルコートの青です。
こちらのボートはFRP製ですので、青色の部分はグラスファイバーで、ボートそのものとなります。
トランサムの心材であった合板を除去する為に、ボートを切断した事になります。

案の定ボロボロに腐っておりました。
この腐りの判断ですが、上記にて紹介しております様に、穴等からの水跡でも出来ますが、一番良いのはハンマー等で軽く叩きながらのチェックです。
イメージとしては「カンカン」と言った音なら良いのですが、「ボンボン」と言った空洞を感じる音ならアウトですね。

こんなに沢山ボロボロ状態の木材が摘出されました。
状態の悪い物体を出来る限り排除する事が重要となります。
本来なら固い、1枚板のはずですが…。

全ての旧心材(合板)が除去されました。
地道な作業となりますが、FRPに残されている細かな木材を丁寧に取り除く必要があります。

新たに埋め込む為の心材を作成しているところです。
今回は12㎜のコンパネ2枚を、隙間なくキッチリと貼り合わせた物を使用する事にしました。

艇体側のFRPと、この新たに作成されたトランサムの心材を隙間なく貼り合わせる為に、適度に粘度調合されたタルクパテを塗っていきます。
使用される素材は、出来る限りボートを造る時と同じ物にした方が良いでしょう。

新規に作成されたトランサムの心材が、タルクパテを接着剤として貼り合わせられました。
元のFRPと、いかに隙間なく貼り合わせるかが重要となります。

状態にもよりますが、今回は、最初の作業にて切り取ったFRPの板を元に戻す事を想定して作業を進めておりました。
これは、その為の準備段階で、ノンパラの樹脂が塗布されました。

切り取られたFRPの単板は、加工を施して再使用します。
これは、追加積層する為のガラスマットを裁断しているところです。

切り取られた単板の強度アップと、高さ合わせの為、追加にて4枚のガラスマットが貼り合わせられました。

ボート側と、単板側にガラスマットを貼り、硬化しない前に一気に双方を合わせます。
かなり慎重に行わなと、後々、剥がれが起きてしまいます。

下地作りの段階から仕上がりや工程をイメージして、各々の厚みをどうするのか決めてゆく必要があります。
高さも合い、元に戻されました。

カット部分にスカーフをとり、グラスファイバーを3プライ程積層し、結合と面出しを行います。
これでトランサム強度に関する作業は終わりです。

既にトランサムの強度としては十分仕上がっている状態ですので、後は見た目を良くする作業です。
こちらは下塗りとして、プライマー塗料を吹き付けた画像です。

今回は自動車補修用塗料を使用しました。
硬化剤を混ぜ合わせるタイプの、アクリルウレタン樹脂系の塗料を使用しました。

トランサムの修理とは関係ありませんが、今回は全体のレストアの為、見た目が良くなる様に、新品のガンネルを取り付けました。

トランサムパッドも取り付けられ完成です!
ちなみに船内側は、ゲルコート(トップコート)を吹き付けております。
当店では、レストア(復元)をしたボートを販売しております。
この様な艇をベースにして、お客様の好みにカスタマイズをされてみてはいかがでしょうか?
作業はちょっと苦手… と言ったお客様に代わって、当店にて各種艤装も行っております。
ステアリング仕様にしたい…
魚探を取り付けたい…
電動モーター(エレクトリックモーター)を取り付けたい…
トレーラーブルボートとして使用したい…
船外機は新品の4ストロークで、スズキを載せたい! ヤマハがいい! マーキュリーの2ストロークがいい! 等々のご要望に出来る限り対応してまいります。