船底のキール部分に大きなダメージを受けたバスボートの修理事例です。
通常、軽度なクラック等の外傷の場合、ボートの外側からグラスファイバーを貼り修理を行いますが、今回のケースの場合は、浜に係留中のボートが波等の揺れにより、何度も何度も船底のキール部分が湖底の岩との干渉を繰り返し、大きなダメージを受けてしまいました。
よって、ボートの内側からグラスファイバーを積層する大掛かりな修理が必要となりました。

船底キール部分のグラスファイバーが完全に割れております。
更に、元々の表面の赤いゲルコートも、度重なる干渉により削れてしまいました。

ボートの内側からグラスファイバーの貼付け作業が出来る様にデッキの切開を行い、充填されていたウレタンフォーム材の除去も行います。

ボートの内側から、ガラスマット・ロービングクロスを程よく配置し、数枚積層します。

グラスファイバー積層作業の為に除去してしまった発泡ウレタンフォーム材を、隙間なく再度注入し復元させます。

グラスファイバー積層作業の為に切断し取り外されていたFPR製デッキを元の位置に戻します。

元に戻されたデッキを固定させる為、ガラスマットを貼り付け、その上にゲルコート(トップコート)を塗り綺麗に仕上げます。

船底(外側)からグラスファイバーを積層し、専用の樹脂製のパテにて成型をします。

今回はゲルコートではなく、ウレタン塗料を使用し、全体の補修を行いました。
上塗りの前のプラサフは耐水タイプの物を使用。

元々のカラーはレッドでしたが、ボトムはブラックの2液性ウレタン塗料にて仕上げました。
度々見かけるDIYによるFRP修理…
ただテープを貼るかの様な作業では完全とは言えません。
ボートの製造過程を知り、理論的に工法を考え、耐久性の高い修復を目指す必要があります。
とても難しいですし、時間もかかりますね。